株式 – 資産運用の種類
株式は、株式会社が資本金を出資証券として分割したものです。少ない株でも権利付き最終日に所有していれば株主となり、その企業が利益を出せば配当金として受け取れますし、株式市場で価格は変動しているため、買いと決済の差額で譲渡益(キャピタルゲイン)を得るこもできます。
どのくらいの資金があれば株を買えるのか?については、ピンきりです。数百円で1株買える企業もあれば、百万円ないと1株買えない企業もあります。
概要表
項目 | 内容 |
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リターン |
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種類 |
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留意点 |
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普通株
株式市場で投資家間で売買されている株式のことです。一般的に「株式」=「普通株」のことを指します。
株で資産運用するほとんどの人が、普通株を売買しています。
株を証券会社を通して株式市場で買い株主になることで、「株主総会への参加権利(議決権)」「配当金の受け取り(配当金請求権)」「企業が解散したときの残財産の分配(残余財産分配請求権)」「自社製品や商品券などの受け取り(株主優待制度)」の権利を有することができます。
「資産運用」として考えた場合の普通株なら、株主優待が良い会社を基準に選ばない方が良いでしょう。株主優待は、現金ではなく自社製品や商品券などで投資家へ還元されるので、株主優待を基準にしてしまうと資産が増えないためです。たまに、資産運用と言いながら株主優待が目的になってしまい株価下落で損している個人投資家を見かけますよね。
優先株
優先株は、普通株に比べ配当金などを優先的に受け取れる株式です。権利が普通株よりも優先されることから優先株と言われます。ただし、優先株の議決権は制限されます。米国では一般的な株式の種類ですが、日本国内ではあまり知られていないかもしれません。
優先株は基本的に市場に流通していませんが、お茶で有名な伊藤園だけは「伊藤園第1優先:25935」として上場しています。証券会社によっては、この伊藤園第1優先25935を売買できるところもあります。配当金も普通株よりは多いのが特徴ですが、議決権はなく、流動性も低いことから売買は注意しなければなりません。
優先株は、「参加型・非参加型・制限参加型株式」と3種類に分けられ、更に「累積型・非累積型」の2種類に分類されます。
下記は、優先株の種類と特徴です。
- 参加型: コストは高いが、普通株の配当金を追加でもらえる
- 非参加型: コストは低いが、優先株の配当金しかもらえない
- 制限参加型株式: 制限付きで、普通株の配当金を追加でもらえる
- 累積型: コストは高いが、配当金が規定の金額に達しない場合、不足分も次年度以降に繰り越せる
- 非累積型: コストは低いが、不足分の配当金を次年度以降に繰り越せない
では、どんな時に優先株が発行されるのか?については、「企業側が追加資金を必要としている際に、株式を発行して議決権の過半数を取られてしまい第三者に支配されることを回避する時」です。
投資家の中でも「企業へ出資して配当や株価上昇は狙いたいが支配するつもりはない(議決権が欲しいわけではない)」というニーズとマッチさせるために優先株が最適となります。
劣後株
普通株に比べ、配当金や残余財産分配で優先度が後順位になる株式です。
投資家にとっては不利になる条件の株式で、既存の株主の利益を損なわず資金調達を実施する場合に発行されます。
「資産運用」の枠として考えた場合は、投資している企業が劣後株を発行したかどうかだけが判断材料となり、劣後株に投資するということは一般的にはありません。
劣後株を保有するメリットはないので、通常は劣後株を発行した企業の経営陣などが引き受け手となり発行されます。この劣後株が発行されるケースは非常に少ないです。
株式投資のメリット
- 一株でも権利付き最終日に保有しているだけで(議決権や配当金などの)権利がある
- 株価の上昇で決済後に差益を得られる
- 多くの上場企業から投資先を選ぶことができる
- 数十万円の投資額でも始められる
- 信用取引で空売りもできる銘柄もある
- 同一業種銘柄で相関性がある銘柄は鞘取りの手法が使える(相場による)
株式投資のデメリット
- 権利付き最終日・権利確定日に株を保有していないと(議決権や配当金などの)権利がない
- 株価の下落で決済後に損失になる
- 倒産してしまうと無価値になる
- 上場企業が多すぎて投資先に悩む
- 数十万円の投資額だと投資できる企業が限定される
- 信用取引で投資額以上の損失をすることがある
- 流動性が低いと希望の価格で売れない
株式の始め方
証券会社に口座を開設して、株式市場で売買します。
数十年前は、株価は証券会社前のボードやテレビ、新聞、ラジオなどでしか情報を得られず、注文も窓口か電話でしたが、現代においてはインターネットでパソコンやスマートフォンからポチポチするだけで株価もチャートも企業情報も得られ、ネット上から簡単に売買できます。手数料は、証券会社毎に異なり、ネット証券の方が安い傾向があります。
株式を資産運用のポートフォリオに組みこむことは、ファンドや投資のプロも行うほど一般的ですが、投資初心者が資産運用で株式をポートフォリオに組むべきかについては人によると私は思います。投資初心者は、後述するETF(上場投資信託)の方が個人的には良いと思います。
尚、海外居住者が、日本の証券会社を通して日本株を売買できるか?については不可です。証券会社に問い合わせてみれば分かりますが、どこも口座閉鎖(解約)を勧められます。
日本の証券会社は海外で営業できる免許を保持していない(実質保持できない)ことが理由です。証券会社の顧客で海外居住者がいるということが金融庁に分かってしまうと、金融証券取引法違反となり場合によっては業務改善命令をされてしまうリスクもあるので、証券会社は海外居住者に対し口座解約しか対応を取れません。
海外在住者の日本株取引の方法としては、「海外居住者でも口座開設可能な証券会社で取引する(シンガポールのPhillip証券)」「海外FX業者で株式CFDを取引する」の2つの方法があります。
シンガポールのPhillip証券は、日本株や米国株などの現物株式を取引できますが、パスポートおよび住所証明書のコピーを公証人役場で認証を受ける手間があります。
一方、海外FX業者を使った株式CFD取引は、CFDなので現物株式ではありませんが、書類の認証を受けることなく簡単に口座開設できます。
どちらもメリット・デメリットありますが、現物株式を取引したいのであればシンガポールのPhillip証券が一択です。