金利7%のベトナムの定期預金口座を作れる条件と注意事項
- 「ベトナムの銀行って金利7%つくらしいよ」
- 「え!マジ?もし千万円分預けたら年70万円、月5万8千円ももらえるの!?」
- 「ベトナムならそれだけで生活できるじゃん!」
- 「しかも利息の所得税は5%だけなんだって!」
- 「それめっちゃ良いじゃん!俺もベトナムの銀行口座作りたいんだけど!」
ベトナムの銀行の金利が高いから、その数値だけに目がくらみ、勢いで銀行口座を作りたい!って人がいるんですが、そもそも口座作れる条件に該当しない人の方が多いですし、預け入れたあとのことを考えない人が多いので危ないですね。
ベトナムの銀行口座で金利7%とは
まず誤解のないように先に伝えておくと、金利7%ってのは各銀行によって提供している金利が異なるので、銀行によっては8%もありますし3%になるところもあります。あと、2019年8月時点の金利ですね。
ベトナムはインフレ率に合わせてよく金利が変更されるので、来年はどうなっているかは分かりません。
大手銀行ほど金利が低く、信用度の低い銀行ほど金利が高い傾向にあります。ベトナムでは銀行が破綻して国有化されることは珍しくありません。
ちなみに、私の預けているVietcombank(ベトコムバンク)は、現在6.8%です。国営銀行で日本のみずほ銀行が出資しています。
普通預金ではなく1年定期預金の金利
そして、これらの金利は普通預金ではなく定期預金1年の利率です。
もちろん、1ヶ月や3ヶ月の定期預金もありますが、その場合平均4%程と1年の金利よりも低くなります。これは日本でもどこでも同じですし当然ですよね。
1年以降は、1年3ヶ月や2年でも同じ金利となります。それなら、1年の定期預金にした方が良さそうです。
外国人がベトナムの銀行口座(定期預金)を開設できる条件
- 6ヶ月以上のビザを保有(ビザ期間内しか定期預金を組めない)
- 預金するお金を証明できる書類を準備すること
- 銀行口座を作る具体的な理由があること
6ヶ月以上のビザを保有
以前は、旅行者でも観光ビザで銀行口座を作れたりもしたんですが、今年あたりから厳しくなってしまい6ヶ月以上のビザがないと開設できなくなってしまいました。
そうなると、必然的に観光ビザは最大3ヶ月なので、観光客はベトナムで定期預金の銀行口座は作れません。
駐在員は最大2年、留学は最大1年のビザなので、1年の定期預金を目的ならベトナムで働いている人以外は、金利7%で運用ということは事実上不可能です。
預金するお金を証明できる書類を準備
これも今年から厳しくなって、どの銀行でも出どころを証明できないお金は定期預金にできなくなりました。
銀行側もマネロンのリスクがありますから、当たり前っちゃ当たり前ですけどね。
証明書を準備しなくても良いのは、駐在員や現地採用の人がベトナムの銀行口座に直接給料として支払われている場合ですね。そのまま定期預金にまわすことができます。既に企業から振込された給料という事実が証明になっているためです。
しかし、日本から自分でお金を持ち込んだり、直接ベトナムの銀行口座へ振込となると、証明書が必要になります。
証明書は、その人の状況によって様々なんですが、フリーランスで企業から報酬を得ているなら、その企業との契約書と請求書、納税証明書等になります。これは私は該当しないので分からないんですが、日本語書類ならたぶん法務局に行ってベトナム語に翻訳して法務局で公証が必要だと思います。(だいたい役所に提出書類は、法務局で公証が必要です)
銀行口座を作る具体的な理由があること
銀行口座を作る前に、窓口の担当者から理由を求められます。
形だけではあると思いますが、「金利が高いから預けてお金増やしてあとは日本へ持ち帰る」なんて正直にいうと、開設不可になるでしょう。(苦笑)
「ベトナムで働いて給料を現地通貨でもらっているけど、インフレの懸念があるから、その間定期預金にしたい」であれば審査は通ると思います。
ベトナムの銀行口座に預金する場合の注意事項
- 預金保護は、50trieu(25万円)まで
- インフレにより実質利回りは低くなる
- 海外から振込で預け入れる場合は、振込手数料と着金手数料がかかる
- 破綻→国営化されたときの連絡手段はどうすべきか
- 一度定期預金にしてしまうと、外貨に戻すことが難しい ←ここ重要
預金保護は、50trieu(25万円)まで
このリスクを許容できるかも重要です。もし、銀行が破綻してしまったら、もし1,000万円分預けていても最大で25万円分しか戻ってきません。(最大なので、25万円分の半分12.5万円分くらいしか戻ってこないときもあるそうです)
「そう簡単に銀行破綻なんて今の時代ないでしょー」って思うかもしれませんが、今でもベトナムだと稀にあります。
インフレ率により実質利回りは低くなる
ベトナムは、近年のインフレ率が平均3%ほどです。「2016年2.67、2017年3.52、2018年3.54、2019年3.09(IMF調べ)」
そうなると、金利7%でもインフレ率は3%ですから、実際は4%ほどの利回りになってしまいます。
あと、ベトナム中央銀行は対ドルレートに対して、ベトナムドンの通貨切り下げも定期的に実施しているので、この辺のリスクも考慮する必要があります。
海外から振込で預け入れる場合は、振込手数料と着金手数料がかかる
当たり前ですが、海外送金は送金手数料と着金手数料がかかります。どの国でも同じですね。(HSBCだと他国間でも自分のアカウント同士手数料無料だったりしますけどね。)
もし、日本から海外送金なら約4,000円前後、ベトナム着金時に15ドル前後が手数料としてかかります。着金時は、振込額から自動的に手数料が差し引きされます。
破綻→国営化されたときの連絡手段はどうすべきか
これ私もよく分からないです。
昔働いていた会社がとある某銀行へ給料振込してて、その後会社を退職して銀行口座はそのまま放置していたんですが、気づいた頃にはいつの間にか破綻していました。
確か、口座維持手数料がかかるのが嫌で4trieu(2万円分)くらい残高のこしていたと思うんですが、何の連絡もなく破綻してしまいました。合併されたのか国営化されたのかの情報もないほど小さな銀行だったので調べる術はなく、今では2万円損失のままです。(悲)
こういうことがベトナムだとありえるので、この辺のリスクも考えた方が良いと思います。
一度定期預金にしてしまうと、外貨に戻すのが難しい
ベトナムドンで定期預金にしてしまうと、定期預金を解約して普通預金にしても、外貨へ戻すことが難しくなります。
この辺のリスク解説せず、SNSやブログ等で「ベトナムで定期預金しましょう!」と推してくる人が多いので注意して欲しいです。
よって、ベトナムで定期預金 → 定期預金解約し普通預金 → 海外(日本など)に海外送金は不可になります。
2022年追記: 2019年頃は定期預金から外貨へ全て戻せないと銀行担当者の話でしたが、現在は条件付きで外貨へ戻すことが可能のようです。
例えば、駐在員の方が給与収入で定期預金後、本帰国前に帰国先の銀行へ送金は帰国証明ができれば可能のようですので、駐在員の方は心配なさそうです。銀行によって対応が異なると思うので要確認です。
「じゃぁ、意味ないじゃん!」と思うかもしれませんが、実はそんなことはなく下記の方法があります。
- 定期預金解約 → 現金でベトナムドンを引き出す → 街の両替所で外貨に変える → 1回5000ドル分までをハンドキャリー
- 定期預金解約 → 普通預金にする → 銀行発行のデビットカードを作る → 海外でカード支払いする
もし、定期預金解約後に外貨へ戻せないのであれば、上記の2つの方法で外貨にする方法があります。
5000ドル以内であれば、街の両替所で証明書なく外貨へ両替できます。5000ドル分の外貨であれば無申告で海外へ持ち出すことができます。
海外現金持ち出しで注意して欲しいのが、外貨の5000ドル分であり、ベトナムドンは1,500万ドン上限ルールです。ベトナムドンを1,500万ドン以上持ち出そうとしてバレると空港で罰金になってしまいます。
もう一つの方法は、定期預金をしていた銀行でデビットカードやクレジットカードを作り、そのカードを使って海外で支払いをする方法です。(外貨にするわけではありませんが…)
帰国予定がない現地採用の方や経営者の方で、定期預金解約後に外貨へ戻せないのであれば、この方法が一番面倒ではなく現実的かと思います。
日本一時帰国や他国への旅行の際に、銀行発行のカードで支払えばベトナムドンは消化されていきますし、ベトナム航空のマイルが貯まるカードにすれば、カード支払いでマイルが貯まるのでお得です。(ちなみに私は、「Vietcombank Vietnam Airlines Platinum American Express® international credit card」を使っています。)
定期預金解約後に銀行で外貨へ戻すことはできないけど、外貨での支払いはできるってちょっと謎ですけども。
以上、「金利7%」につられて、安易にベトナムの銀行口座で定期預金にしない方が良いよ!というお話でした。