資産運用7種類の解説とメリット・デメリット比較

2020年12月29日

「資産運用」と言っても幅広く、現代において数多くの資産運用の種類がありますが、知名度が高い資産運用を大きなカテゴリに分けると、「預金、株式、投資信託、債券、保険、不動産、金(ゴールド)」の7種類になります。

その他、「CFD、FX、先物、仮想通貨など」もありますが、これらの商品は「投資ではなく投機」という位置づけです。(*厳密に言うと、FXはCFDに含まれ、仮想通貨はコモディティに分類)

「CFD、FX、先物、仮想通貨など」が資産運用に該当するかどうかは、個人的には「資産運用にならない」(投機色が濃い)考えの方が強いです。(投機が儲からないという意味ではなく、価格変動リスクが高いので長期資産運用に向かず、本来の資産運用とは別に考える必要がある)

尚、NISA(少額投資非課税制度)iDeCo(個人型確定拠出年金)は、資産運用するための「手段」です。

年間120万円までの投資で得た運用益を非課税にしたい場合はNISAを、年金受給に不安があるなら優遇税制もあるiDeCoを、それぞれ開設して「投資信託、保険、定期預金」などへ投資した方が税制上のメリットがあります。

一般NISAは、年間120万円×5年間の非課税枠、つみたてNISAは、年間40万円×20年間の非課税枠です。これらは併用することができないので、最初に一般NISAで5年間、6年目からつみたてNISAの順で利用した方が効率が良いかと思います。

この記事では、資産運用の種類と特徴、各資産運用のメリット・デメリットを比較して簡単に基本的なことを解説しています。

ちなみに、「資産運用の種類やメリット・デメリットなんて知ってるよ!」って人には基本的なことしか書かれていないので役立たない内容です(汗)

資産運用とは

説明せずとも理解されているかと思いますが、資産運用は「資産を様々な方法で運用して長期的に増やすこと」が目的(定義)です。「資産運用」と言いながらも、毎年どんどんお金が減っているようであれば適切な資産運用とは言えません。

最近は資産運用で株式投資をしている方も多いと思いますが、例えば、株式口座に入れた100万円が3年後に70万円になっているような取引は、資産運用が失敗していると言えるでしょう。

尚、資産運用でどのくらいの期間をかけてどのくらいのお金を増やしていくかについては、将来の目標(ゴール)を数値で決めて、その目標からどのような資産運用をすればよいのかを多岐に数値化(逆算)して考える必要があります。

金額を目標にしない方が良いという意見もありますが、ある程度目安として配当などインカムゲインに関して数値化した方が現実的に可不可が見えてくるので数値化した方が良いというのが私個人の考えです。(投機については、金額を目標にしない方が良いとは思います)

この辺の話は長くなりますし本筋とはズレるので、また暇なときにでも別記事にしたいと思います。

「資産運用してお金増えればいいなー」と数値化せずに漠然とした考えをする人がいますが、これではあまり良い結果を出せないと思います。

投資と投機の違い

「投資」と「投機」は、よく耳にする言葉でしょう。2つの言葉とも数値化された明確な定義があるわけではありませんが、投機は短期キャピタルゲイン狙いのギャンブル要素が強い意味で捉えられることが多いです。

株式取引は、「投資」の部類として一般的に周知されていますが、チャートや板情報を見ながら短期的に売買を繰り返す取引は、「投資」ではなく「投機」の部類に入ります。デイトレード、スキャルピングトレードと言われる取引スタイルは全般的に「投機」です。たまにマネー誌やTwitterなどで「デイトレ投資で数億円稼いだ」みたいな話がありますが、このような取引は厳密に言うとこれは投資ではなく投機となります。

株式取引でも、企業の将来的な成長性を財務諸表などから分析(ファンダメンタルズ分析)し、配当や値上がりを期待して年単位で長期的に保有しつづけるような取引が「投資」と言えます。

投資と投機の捉え方
  • 投資とは?: 将来的に継続して価値が安定・向上する見込みのある対象を数年に渡り長期的に保有し続けインカムゲインを中心に安定した利益を狙うこと
  • 投機とは?: 数ヶ月以内の短期的に価格の動く方向を予測し、短期で売買を繰り返しキャピタルゲインの利益を狙うこと

書籍「ウォール街のランダムウォーカー」によれば、投資期間はリターン&リスクに密接に関係しており、短期取引の投機より期間が長ければ長い投資ほどリスクが小さくなるとされています。

「教養としての投資」という書籍に、投資と投機の違いについて農地を例えにしています。自分が農地を持つとしたら、そこからどのような収益を得ようと思って買うのか?という違いです。

「この農地からどれだけの農作物が取れるのか」を考えるのが投資で、「この土地がどのくらい値上がりするのか」を考えるのが投機です。

教養としての投資

賛否両論ありますが、私は「投機は、(本来の意味での)資産運用に該当しない」という考えです。

Twitterで「ベンジャミン・グレアムの投資哲学」のまとめがありましたが、まさに本来の意味での投資とは、このスタイルに該当する必要があると思います。

一. 投資とは、詳細な分析に基づいて行うものであり、元本を保全して、適切なリターンを上げることと定義する。この条件を満たさないものを投機と呼ぶ。

二. 将来のことは分からないのだから、投資家は手元資金をすべてひとつのバスケットに入れてはならない。その安全で堅実な範囲を超えて冒険に挑んだ人々は、精神的に大きな困難を背負うことになる。

三. 投資家と投機家の相違は、その人が相場変動に対して、どのような態度で挑むかという点である。投機家の関心事は、株価の変動を予測して利益を得ることであり、投資家の関心事は、適切な証券を適切な価格で取得し保有することである。

四. 安全域の原則を確固として守ることによって、十分なリターンを得ることが可能である。安全域の原則は、割安銘柄に適応することでさらに明白なものとなる。割安銘柄は、株価がその株式の本質的価値より安い状態にあるわけであり、その差が安全域となる。

ベンジャミン・グレアムの投資哲学
賢明なる投資家

資産運用の種類

下記は、大きなカテゴリに分けた資産運用の種類です。

主な資産運用の種類

  1. 預金 (普通預金・外貨預金・定期預金)
  2. 株式 (個別株)
  3. 投資信託 (株式投資信託、公社債投資信託、上場投資信託(ETF)など)
  4. 債券 (国債・社債)
  5. 保険 (貯蓄型保険)
  6. 不動産 (一棟、マンション、駐車場、民泊など)
  7. ゴールド (金貨・金地金・金ETFなど)

資産運用のリスク・リターン関係

下記の表は、各資産運用の種類別リスク・リターンの関係です。一番リスクが低くリターンも低いのが、預金・保険・債券となります。一番ハイリスク・ハイリターンなのが、CFD・先物・仮想通貨です。

リターン
(高)
CFD、先物、仮想通貨
株式
投資信託、不動産
預金、保険、債券、金
リターン(小)/ リスク(小)リスク(高)

過去10年の期間における標準偏差が大きいほどリスク・リターンが大きく、ボラティリティが小さいほどリスク・リターンが小さいという基準です。(もちろん、投資信託、株式、不動産は、投資対象によってはリスク・リターンの関係が大きくことなるので一概には言えませんが…)

また、投資手法によってはローリスク・ミドルリターン、ハイリスク・ローリターンになったりします。例えば、デリバティブの商品先物で限月の異なる同士の鞘取りは、ローリスク・ミドルリターンとなります。尚、金融工学的には、リスク0でハイリターンとなる金融商品は存在しません。

預金

「預金が資産運用?」と思われる方もいると思いますが、数十年前の日本は高い金利で資産運用の代名詞でした。近年は、銀行預金も低金利が続いているので、現在では資産を増やす資産運用というより、主に資産を守る意味での資産運用とされています。

預金は、「普通預金」「定期預金」「外貨預金」の3種類があります。

海外在住者で海外の銀行を使われている方は、高い金利で定期預金できる国もまだあるでしょう。私の居住するベトナムも年々金利が落ちてはいますが、2020年執筆時点で年6%の定期預金を組むことができます。(インフレ率を考慮すると年3%ほどの利回りです)

概要表

項目内容
リターン
  • 利息
リスク
  • 信用リスク
  • インフレリスク
  • 金利リスク
種類
  • 普通預金
  • 定期預金
  • 外貨預金
留意点
  • 金融機関が破綻した場合、元本1,000万円まで預金保護される。
  • 定期預金にした場合、定期預金額は満期になるまで出金できない。
  • 定期預金を解約した場合、利率が適用されないか解約利率が適用される。
  • 外貨預金した場合の両替手数料が高い銀行もある。

増やす目的で「預金」は選択してはいけない

預金は、現代では増やす目的から守る形へ変化しているので、定期預金や外貨預金にしても増やそうとしてはいけません。

銀行では「定期預金は金利が低いので、金利の高い外貨預金をしましょう」と外貨預金を推奨していることがありますが、金利が高い外貨というのはそれだけ国としての信用力が落ちてるからなので、高金利通貨を保有しているだけで日々価値は下落していきます。

最近では、トルコリラ、南アフリカランド、ブラジルレアル建ての定期預金です。新生銀行では、これらの定期預金は1~3%(税引前)の金利としていますが、預入時と払戻時の手数料が高いですし、売りと買いの差(スプレッド)も広く、対円や米ドルに対して外貨の価値も下落しているので、高金利通貨を定期預金したが最後、あっという間に資産目減りしてしまいます。

預金のメリット

では、資産運用としての預金のメリットは何か?については、主に下記の3つです。

預金のメリット

  • 普通預金と定期預金は、預金保護対象(一人最大1,000万円まで)
  • 普通預金は、為替変動リスクがない
  • 預金保護があるのでポートフォリオへ組み込むと資産運用のリスクを軽減できる

万が一、他の金融資産が目減りしてしまっても、(日本円の)預金は価値が安定していますし、最大1000万円までの預金保護があるのでポートフォリオを健全にできることが挙げられます。

ただし、資産運用ポートフォリオの預金比率が高すぎても資産が増えるわけではないですし、インフレや金利リスクが伴うので現金預金の比率は全体の数%に留めた方が良いでしょう。

その他、

  • いつでも簡単に現金を引き出せる&預け入れできる
  • ネット決済やカード連携で生活必需品の支払いが気軽にできる

という生活上のメリットもありますから、極端にポートフォリオの現金預金比率を0%にして全額別の金融資産へ投資というのは、生活含め逆にリスクが高くなってしまいます。

預金のデメリット

預金のデメリット

  • 銀行破綻時の保証は、一人最大1,000万円まで
  • 普通預金と定期預金の金利が低いので資産を増やすのには向いていない
  • 定期預金にした場合、満期まで出金できない
  • 外貨預金は、手数料と為替リスクで損をすることの方が多い

一人最大1,000万円までの預金保護というのは、メリットでありながらデメリットでもあります。1000万円以上を銀行に預けている場合は、1000万円を超える金額が保護されないためです。しかし、今の時代に日本の銀行が破綻ということは0に近いリスクだと思うのでそれほど心配せずとも良いでしょう。

また、前述したように外貨定期預金は、それほど良い資産運用とはいえず、逆に手数料と為替リスクで損してしまうこともあります。だからといって普通預金のままでは資産を増やすことはできないというデメリットがあります。

ポートフォリオとは?

ポートフォリオとは、金融商品(資産運用の種類)の組み合わせのことです。資産100%の中から、どの資産運用の種類をどのくらいの比率で組むかによって、資産運用での成果が変化します。
例えば、資産100万円のうち、預金20万円、株式80万円投資であれば、ポートフォリオは預金20%、株式80%となります。
具体的には、金融工学のポートフォリオ理論に基づいて各金融商品のリスク率とリターン率を計算した上で最適なポートフォリオを組みます。一番リスクが低くリターンが最大になる比率を計算したのが「効率的フロンティア」です。

預金の種類など、より詳しい内容は、下記の関連記事で解説しています。

株式

「資産運用と言えば株投資」と言えるほど知名度の高い資産運用の種類の一つです。株式とは、株主から集めた資金に対して企業が発行する証書です。

多くの人がご存知のように、普通株と言われる株式(株)は、株式市場で売買され価格(株価)が平日毎日変動しています。株式市場で株を買った時の株価と決済時の株価の差額が損益となり、権利付き最終日に株を保有していれば権利確定日にその企業の株主となり、配当があれば配当金を受け取れます。

概要表

項目内容
リターン
  • 配当金
  • 売却益
リスク
  • 価格変動リスク
  • 信用リスク
  • 金利リスク
  • 流動性リスク
種類
  • 普通株
  • 優先株
  • 劣後株
留意点
  • 投資先の企業が倒産した場合、購入していた株は無価値になるリスクがある。
  • 多くの株式銘柄が市場で取引されているため選定に迷う。
  • 企業の成長性を判断するには財務諸表などを読めるスキルも必要。

ほとんどの人が投機的な株取引をしている

本来の意味の資産運用としての株投資の一例は、企業の財務諸表や事業内容などから分析(ファンダメンタルズ分析)をして投資対象の企業を選定し、相関のない銘柄同士を組み合わせ各銘柄の投資金額をローリスクになるように合わせ、ポートフォリオを組んで長期で投資する流れとなります。

しかし、世間一般で株取引をしているほとんどの人が、企業に関連するニュースやチャート分析(テクニカル分析)で日々売買を繰り返す投機的な取引をしているのが実情かと思います。投機でも良いとは思いますが、長期的な資産運用とは別に考え、投機比率を資産全体の数%に抑えて取引することがリスクコントロール上重要かと思います。

たまに、テレビや雑誌などで株で大儲けした人が話題になりますが、短期間で大儲けした人達は株価の変動幅で利益を得ている投機スタイルです。「自分もこんな大儲けしたい!」と同じように株取引を始める人が多いですが、数百万円から初めて億単位に稼げるスキルやセンスを持った人は極稀です。私の感覚的には1,000万人中1人くらいだと思います。私には無理ですが(汗)

株式投資のメリット

株式投資のメリット

  • 一株でも権利付き最終日に保有しているだけで(議決権、配当金、優待などの)権利がある
  • 株価の上昇で決済後に差益を得られる
  • 多くの上場企業から投資先を選ぶことができる
  • 数十万円の投資額でも始められる
  • 信用取引で空売りもできる銘柄もある
  • 同一業種銘柄で相関性がある銘柄は鞘取りの手法が使える(相場による)

いくつかのメリットがありますが、資産運用としてのメリットで考えるのであれば、リターン面の「配当金、売却益」の2点でしょう。

配当金は、全ての企業ではなく一部の企業が利益に応じて配当金を支払っていますが、高い配当が望めるからといって優良株とは限りません。毎年、利益のほぼすべてを配当にまわす企業であれば、企業は新しい投資をしていないことになり、企業価値が下落する傾向があるためです。

また、株主優待という株主への還元方法もありますが、そちらも良い優待だからといって優良株とも限りません。資産運用において株主優待を目的にすることはあまり良い策とはいえないでしょう。

株式投資のデメリット

株式投資のデメリット

  • 権利確定日に株を保有していないと(議決権や配当金などの)権利がない
  • 株価の下落で決済後に損失になる
  • 倒産してしまうと無価値になる
  • 上場企業が多すぎて投資先に悩む
  • 数十万円の投資額だと投資できる企業が限定される
  • 信用取引で投資額以上の損失をすることがある
  • 流動性が低いと希望の価格で売れない

上場企業が倒産してしまうと投資していた株は無価値になってしまうデメリットがあります。倒産しなくとも何か悪い材料で上場廃止になっても株価は下落してしまいます。過去有名なのは日本航空でしょう。上場廃止で100%減資であったため、株は急落し最終的に無価値になりました。

また、投資金が数十万円だと投資できる企業も数も限られ、限定された投資になってしまうこともデメリットです。

上記以外のデメリットも様々なリスクがあります。

配当を得るには、その企業の権利付き最終日(権利確定日の2営業日前)に株を保有している必要がありますが、だからといって、「権利付き最終日に株を買い、翌日に株を売れば配当を得られて稼げる」という単純なものではありません。権利付き最終日の翌日は権利落ち日といって、株主優待や配当などの権利がなくなるので株価が下落しやすいためです。

 

株取引は、投機・投資どちらにおいても人それぞれ多岐の手法があり、自分に合う合わない、感情的なコントロールということも含まれますので、多くの人が株取引をしていますが、簡単なようで利益を上げ続けるにはとても難しい投資と言えます。

より詳しい株式については、下記の関連記事で解説しています。

参考書籍

マーケットの魔術師米トップトレーダーが語る成功の秘訣

投資信託

投資信託(投信)は、多くの投資家から資金を集め運用のプロ(ファンドマネージャー)へ委託し、運用成果の利益を投資家へ分配する資産運用方法です。

株や債券など各金融商品についての知識がなくとも、投資信託の種類さえ選んでしまえば、プロに任せて運用できるというメリットがあり、投資初心者にも人気の金融商品です。

投資先は、国内・海外の株式、債券、不動産など、投資信託を運用する運用会社の方針や種類によって異なり、日経平均株価や米国のナスダックなど特定の指数に連動して価格が動く商品もあります。

投資信託は大きくわけて、指数と連動した運用成果を目指す「インデックスファンド」と、インデックスファンド以外の「アクティブファンド」があります。

概要表

項目内容
リターン
  • 分配金
  • 売却益
リスク
  • 価格変動リスク
  • 金利リスク
  • 為替変動リスク
種類
  • 株式投資信託
  • 公社債投資信託
  • 上場投資信託(ETF)
  • etc...
留意点
  • ファンドの種類により分配金がないファンドもある。
  • 投資信託自体も基準価額が変動する。
  • 多くのファンドは1万口当たりの金額で表される。

指数連動型のETFが初心者にとって始めやすい

投資信託の種類は、大きく分けて「株式投資信託・公社債投資信託・上場投資信託(ETF)」の3つがありますが、初心者にはETFがはじめやすいでしょう。ETFは、証券取引所に上場しているので、株式同様に証券会社を通してインターネットから注文が可能で、一般的な(株式)投資信託よりもコストが安いメリットがあります。

ETFといっても種類は多く、日本国内株ETFだけでも195銘柄がありますが、初心者であれば日経平均株価指数連動型や米国のダウ平均株価連動型などが分かりやすくて始めやすいのではないかと思います。

ETF選定には、東証が運営する「東証マネ部!」のサイトが検索機能もあり使いやすいです。

参考サイト(外部リンク)

投資信託のメリット

投資信託のメリット

  • 少額から投資を始めることができる
  • 分散投資がしやすい(株式・債券・外国株・不動産などの各投資信託・ETFに分けることが容易)
  • 投資信託の種類が豊富で広い選択技がある
  • 細かい銘柄の分析はせずに、ファンドマネージャーに任せられる
  • 決算ごとに監査法人などの監査があるため、運用の透明性が高い
  • ETFであればコストが安く、いつでも売買できる

投資信託の中でもETFはメリットが大きく、コストも安く株取引と同じように証券取引所が開いている時間帯に、いつでも取引できることがETFの魅力です。投資信託は信託報酬という手数料が発生しますが、ETFは平均0.5%なのに対し、投資信託が0.5~3%と商品により異なり、ETF以外の投資信託の方が割高になります。

また、投資信託の種類によっては幅広い商品に投資しているものもあるので、分散投資がしやすいのもメリットです。これをもし、一人で同じように分散投資しようとするのであれば多額の資金が必要になってしまいますから、少額で分散投資できるのも魅力です。

投資信託のデメリット

投資信託のデメリット

  • ETF以外はコストが高い(販売手数料・管理手数料・解約手数料などがかかる)
  • ETF以外はタイムリーに売買できない
  • 元本保証ではない
  • 海外投資信託の場合は、為替変動リスクもある
  • 投資信託の種類が多く選定が難しい

ETF以外のデメリットが目立ちますが、ETFも普通の投資信託と同じように価格変動リスクや元本保証でない点などデメリットがあります。いくら投資しやすいETFだからといって稼ぎやすいというわけではなく、売買の時期やETFの種類を慎重に選ばなければすぐに損してしまいますので、ETFの種類や内容を調査することは必要です。

 

尚、ETFなど投資信託は証券会社を通して買うことができます。海外在住者であれば、現地の証券会社が取り扱っているか確認してみましょう。私の居住するベトナムでは残念ながら海外向けのETFはないので、ベトナムのように外国株ETFがないのであれば「海外在住者でも口座開設可能なシンガポールのフィリップ証券」や「ETF取扱いのある海外FXブローカー」を利用する方法もあります。

その他、投資信託の詳細については、下記の記事で解説しています。

債券

債券とは、国や地方自治体、企業など(「発行体」という)が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券(価値を証明する書類)です。日常生活においてお金の貸し借りをするときに「借用書」を発行しますが、資金調達のためにお金を借りる側が貸し手の投資家に対して発行するのが「債券」です。

債券は償還日(満期)という期限が定められていて、償還日までの期間に決められた利子をもらうことができる比較的リスクの低い資産運用の種類となります。

債券の種類は、主に「公共債と民間債」の2種類があり、公共債は「国債・地方債・政府関係機関債」と3種類に分類されます。民間債については、「社債・金融債」の2種類に分類されます。公共債は銀行で購入することが可能で、民間債は証券会社で購入することができます。

日本国債の場合は、国が破綻しない限り元本が保証され債券の中で最も信用度が高いのが特徴で、個人向け国債は1万円から3年・5年・10年の3種類で投資が可能です。ただし、預金金利とあまり変わらない利率なので、資産を増やす意味では難しい手段となります。

債券の種類

  • 公共債
  • 民間債
  • etc…

概要表

項目内容
リターン
  • 利息(クーポン)
  • 売却益
  • 償還差益
リスク
  • 価格変動リスク
  • 信用リスク
  • 金利リスク
  • 為替変動リスク
  • 流動性リスク
種類
  • 公共債(国債・地方債など)
  • 民間債(社債)
  • 外債(外貨建債券・円貨建て債券など)
  • etc...
留意点
  • 発行体の信用度の低下や倒産などにより価格が値下がりしたり、元本や利息の支払いが無くなるリスクがある
  • 投資信託自体も基準価額が変動する。
  • 途中で換金した場合は元本割れするリスクがある

格付機関の評価が重要な指標

債券は、世界の格付機関が信用力や元利金の支払い能力の確実性などを分析評価したランクがあります。AAAが信用力がもっとも高くリスクが限定的で、Dが倒産など債務不履行に陥っている状態で元利の回収不可能というように10段階で評価されています。

これらの格付機関の格付け評価を指標にすることも重要でしょう。Aクラスは信用度が高く、Bクラスは注意が必要、Cクラスは債務不履行になる可能性が高いと捉えられます。一般的にBB以下の債券はジャンク債、ハイイールド債などとも呼ばれ利率が良いがリスクの高い債券とされています。

格付機関は、米国系のムーディーズ、S&P、欧米系のフィッチ・レーティングス、日本国内では格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)などがあります。

投資適格
信用度が高い
AAA信用力がもっとも高く、リスクは限定的
AA信用力が高く、信用リスクは極めて低い
A信用リスクは低い
BBB中程度の信用リスクで、投機的要素を含む
投機的
信用度が低い
BB投機的要素、相当の信用リスクがある
B投機的で、信用リスクが高い
CCC安全性が低く、信用リスクが極めて高い
CC非常に投機的で債務不履行に近い状態。一定の元利の回収が見込める
C債務不履行となる可能性が極めて高く、元利の回収は極めて低い
D倒産など、すでに債務不履行に陥っている状態なので元利の回収は不可能

債券のメリット

債券投資のメリット

  • 定期的な利息収入
  • 償還日に額面金額で払い戻される
  • 償還日になる前に途中で売却もできる

破綻や破産、債務不履行にならない限り償還日(満期日)に額面全額(元本)が払い戻されるのが最大のメリットでしょう。銀行の定期預金よりも若干利率が良く、他の金融商品に比べリスクが少ないという立ち位置です。

利率の低い国債よりも社債の方が利率が良い傾向がありますが、社債は購入単価が高く企業が資金を必要としたタイミングで不定期でしか発行されないため、いつでも購入できるというわけではありません。

債券のデメリット

債券投資のデメリット

  • 国債は利率が低い
  • 信用リスク、流動性リスク、価格変動リスク、金利リスクが伴う
  • 社債の場合、企業が債務不履行になると元本と利息が受け取れない可能性
  • 社債の場合、購入単価が50万円、100万円など高い
  • 途中で売却すると損をする可能性がある

発行元の国が破綻、社債なら企業が倒産・債務不履行になると元本と利息が保証されないのがデメリットです。日本国債の場合なら破綻リスクはほぼないに等しいですが、社債は企業の倒産や債務不履行などのリスクは高くなります。そのため、格付機関での評価が指標となるのです。当然、格付け評価が高いほどリスクは低くなりますが利率も低くなります。

個人向け社債は、証券会社で不定期で売り出されますが、良い条件の社債というのは富裕層向けに販売されることが多いので、一般的にはリスクが高くなると思います。だからといって、国債はリスクが低くとも定期預金並の低金利で資産を増やすのには向いていませんので、ポートフォリオの一部に債券を取り入れることが一般的です。逆に、資産運用で国債だけにしか投資していないというのは、銀行の定期預金よりもリスクにさらされるわりにリターンが定期預金並なので意味がありません。

保険

一言に「保険」といっても多くの種類がありますが、大きく分類すると「貯蓄型保険」と「掛け捨て型保険」の2種類に分けられます。資産運用における保険は「貯蓄型保険」のことを指し、更に「終身保険・養老保険・学資保険・年金保険」と保険の目的別に大きく4つに分けられます。

保険と聞くと万が一の備えとしてのイメージがありますが、保険会社は顧客の資金で資産運用もしており、貯蓄型保険の商品種類によっては顧客へ利益の一部を加えて返戻金にしています。

自分で行う他の投資商品よりも利回りは低くなる傾向がありますが、銀行の定期預金よりも利率は良く、貯蓄型保険では平均1~2%で運用できる商品もあります。

株式投資や投資信託などの資産運用を自分でするのに抵抗があり、全く知識も学べる時間も無いという人は、貯蓄型保険を活用するのも一つの手かと思います。

保険の種類

  • 終身保険
  • 養老保険
  • 学資保険
  • 年金保険
  • etc…

概要表

項目内容
リターン
  • 利息
  • 配当金(商品による)
リスク
  • インフレリスク
  • 信用リスク
  • 金利リスク
種類
  • 終身保険
  • 養老保険
  • 学資保険
  • 年金保険
  • etc...
留意点
  • 途中解約で元本割れすることがある
  • 掛け捨て型よりも割高で長期加入が条件

自分で資産運用できるのであれば、無理して貯蓄型保険を選ばなくても良い

保険の資産運用は、「全く資産運用の知識がなく始める時間も運用の自信もない人向け」です。他の金融商品よりも利回りは1%前後と低くなりますし、掛け捨て型保険よりも保険料が高くなるのが特徴なので、自分で資産運用できる人であれば貯蓄型保険を選ばなくても良いと個人的には思います。

松井証券のサイトに貯蓄型保険と掛け捨て型保険どちらが得か?について解説してあるとおり、掛け捨て型保険よりも貯蓄型保険の方が保険料が高いわりに満期時のリターンが少ないことがデメリットとして挙げられます。

それであれば、掛け捨て型保険で保険料を安くし、貯蓄型保険で払う予定分の差額のお金を別の投資に回した方が良い結果になるというわけです。

詳しくは、下記の松井証券公式サイトで解説されています。

保険のメリット

貯蓄型保険のメリット

  • 全くの資産運用初心者でも始めやすい
  • 銀行の定期預金よりも利率は期待できる
  • 本来の保険としての機能もあり、ライフプランの目的に応じて加入できる
  • 引き落としで自動的に貯蓄できる
  • 生命保険や個人年金保険は、生命保険料控除の対象で節税効果がある

貯蓄型保険の最大のメリットは、ライフプランの目的に応じて保険を組むと同時に資産運用も行える点でしょう。前述した通り、全く資産運用の知識がなく積極的になれない人で、定期預金よりも少しマシな運用をしたい、ついでに保険として安心も買いたいと思っている人には最適な資産運用方法と言えます。

また、自動的に銀行からお金も引き落としされるので、毎月無駄遣いしてしまい中々貯蓄できない人にも最適です。

保険のデメリット

貯蓄型保険のデメリット

  • 途中解約すると元本割れの可能性
  • 保険料が高額
  • 長期加入が必須
  • 他の投資商品よりも利回りが低い
  • 予定利率が下がる可能性

特定の人には最適な貯蓄型保険ですが、やはりリスクとデメリットがあります。一番重要な点は、途中解約で元本割れの可能性と保険料が高額なところでしょう。

貯蓄型保険はその名の通り、貯蓄の目的もあるので毎月の保険料は掛け捨てよりも高くなります。その高い毎月の支払いが辛くなってきたからといって途中で解約してしまうと、元本割れしてしまうこともあります。

この辺のデメリットを理解した上で、それでも貯蓄型保険による資産運用が自分に合っていると思うのであれば、比較的リスクの低い投資商品となります。

不動産

資産運用として知名度が高い不動産投資の種類は、「区分マンション・一棟・戸建て・民泊・駐車場・(REIT:投資信託)」と大きく6種類に分類され、収益は家賃収入と売却益の2種類があります。

家賃収入による実質利回りは、物件自体や空室率、築年数、修繕費用などの支出額によりピンきりになり、新築の場合なら4%前後、築年数が10年以上なら5~7%が平均値になると思います。新築にしても中古にしてもそれぞれ利点欠点がありますし、不動産は多くの条件の元で利回りが変化し損失になることもあるので、購入前に不動産物件選定や空室率を下げる対策などを慎重に検討する必要があるでしょう。

私もベトナムで不動産物件を十数軒保有していますが、中古となればリフォームも必要ですし新築でも不具合が多いので入居者に対してのフォローが必要です。コンドミニアムでも毎月管理費が発生するので、空室になればその月は赤字になってしまいますし、長期的に出口戦略まで含め考えることは多くあります。幸いベトナムは物件自体の経年による下落リスクが低いので、売却時は少し利益がでるか最悪トントンくらいにはなります。

不動産投資の種類

  • 区分マンション
  • 一棟
  • 戸建て
  • 民泊
  • 駐車場
  • REIT(投資信託)
  • etc…

概要表

項目内容
リターン
  • 家賃収入
  • 売却益
リスク
  • 空室リスク
  • 経年劣化リスク
  • 自然災害リスク
  • 火災リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 金利上昇リスク
種類
  • 区分マンション
  • 一棟
  • 戸建て
  • 民泊
  • 駐車場
  • REIT
  • etc...
留意点
  • 管理委託にすると利回りは低下
  • 管理会社の質により逆にトラブルが増えることもある

実物資産の不動産を持たなくともREITで投資ができる

実物資産の不動産も節税対策などメリットはありますが、大家としての興味がないのであればあまり良い結果には繋がらないと思いますので、不動産投資として考えるのであればREITという案もあります。

REITとは、不動産投資信託のことをいい、投資家から集めた資金を「住居、オフィス・店舗、ホテル、商業施設、物流施設など」複数の不動産に投資し、そこから得られる賃料収入などを投資家に分配するという仕組みの投資信託(ファンド)です。日本国内向けREITをJ-REITといい、米国など海外向けREITを海外REITといいます。

不動産は、インフレに強く特に住居系は景気に左右されにくい傾向があるので、ポートフォリオの一部にREIT含む不動産を含めることで、資産のリスクを軽減させることが可能です。

不動産のメリット

不動産のメリット

  • 入居者が安定していれば定収入が見込める
  • 節税対策や相続対策が可能
  • 私的年金代わりになり老後の収入源の一つになる
  • 生命保険の代わりに活用できる
  • ローンを組むことでレバレッジを効かせられる
  • インフレ対策になる

不動産のデメリット

不動産のデメリット

  • 空室リスク
  • 建物の老朽化による修繕費の増加と価値の下落
  • デフレリスク、金利リスク
  • 流動性リスク
  • よく調査しないと割高な物件を買わされてしまうリスクもある
  • 天災や事故リスク
  • 不景気等による不動産下落リスク

ゴールド(金)

ゴールド(金)投資も資産運用で昔から人気です。数十年もの間、資産運用として金投資が人気の理由は、「無価値になりにくい、世界共通の価値、信用リスクが無い、インフレに強い」実物資産であるためです。

「有事の金」としても一時期人気があり、政治・経済の混乱にも強い資産とされ投資家に好まれています。ただし近年は、株や米ドルの値動きの逆相関は崩れてきており、株価や米ドルの上昇と同時に金価格も上昇することが増えてきていますので、有事の金の投資法というよりも金自体の価値が強くなっている傾向があります。

不動産投資の種類

  • 金貨・金地金
  • 純金積立
  • 投資信託
  • 金ETF
  • 金先物・CFD

概要表

項目内容
リターン
  • 値上がり益
リスク
  • 価格変動リスク
  • 為替変動リスク
  • 盗難リスク(現物の場合)
  • 業者破綻リスク(保管の場合)
種類
  • 金貨・金地金
  • 純金積立
  • 投資信託
  • 金ETF
  • 金先物・CFD
留意点
  • 売買手数料が高め

金投資だけでは資産を増やせない

実物資産としての金投資は、継続した配当や利子を生まないので、複利で資産を増やすということができないのがデメリットです。金価格は過去数十年の期間では上昇傾向だったので値上がり益を見込むことはできましたが、今後価値が上昇し続けるのかは不透明さが残ります。

そのため、現代においての金投資は、銀行の定期預金や債券の立ち位置のように他の金融資産を守る意味での投資に変化しつつあります。リスク分散先の一つとして金をポートフォリオに含めることで、資産運用の安全性を高めることができます。

金投資のメリット

金投資のメリット

  • 無価値になりにくい
  • 世界共通の価値
  • 信用リスクがない
  • インフレに強い
  • 現物なら実物を保有もできる
  • 実物を保有せずとも金ETFで利便性高く投資できる

金投資のメリットは、全般的に世界情勢の影響を受けづらく株式市場などが下落局面でも強いことが挙げられます。その背景には、上記項目のメリットのように無価値になりにくい、信用リスクがない、インフレに強いなどが理由です。過去、ITバブル崩壊やリーマンショック時でも金価格は強く、その後上昇して今にいたります。

金投資のデメリット

金投資のデメリット

  • 配当や利子を生まない
  • 管理する場合は保管コストがかかる
  • 金投資信託は手数料が高い商品もある
  • 紛失・盗難リスク

大きなデメリットとしては、配当や利子を生まないことがあります。資産運用の複利運用の効果を見込めないので、金投資単体だけでは資産を増やすことに向きません。値上がりを期待するといっても、今後どれだけ上昇するかは投資のプロでも見えない不透明さが残ります。

金価格があまり動かず儲からないからといって、デリバティブである金先物や金CFDに手を出すことは投機になるため、資産運用には推奨されません。金投資をするのであれば、「金貨・金地金・純金積立・金ETF」が良いでしょう。

資産運用のメリット・デメリット比較

資産運用の種類別 メリット・デメリット比較表

項目メリットデメリット平均利回り
預金
  • 普通預金と定期預金は、預金保護対象(一人最大1,000万円まで)
  • 普通預金は、為替変動リスクがない
  • 預金保護があるのでポートフォリオへ組み込むと資産運用のリスクを軽減できる
  • 銀行破綻時の保証は、一人最大1,000万円まで
  • 普通預金と定期預金の金利が低いので資産を増やすのには向いていない
  • 定期預金にした場合、満期まで出金できない
  • 外貨預金は、手数料と為替リスクで損をすることの方が多い
0~1%
株式
  • 一株でも権利付き最終日に保有しているだけで(議決権、配当金、優待などの)権利がある
  • 株価の上昇で決済後に差益を得られる
  • 多くの上場企業から投資先を選ぶことができる
  • 数十万円の投資額でも始められる
  • 信用取引で空売りもできる銘柄もある
  • 同一業種銘柄で相関性がある銘柄は鞘取りの手法が使える(相場による)
  • 権利確定日に株を保有していないと(議決権や配当金などの)権利がない
  • 株価の下落で決済後に損失になる
  • 倒産してしまうと無価値になる
  • 上場企業が多すぎて投資先に悩む
  • 数十万円の投資額だと投資できる企業が限定される
  • 信用取引で投資額以上の損失をすることがある
  • 流動性が低いと希望の価格で売れない
4~7%
投資信託
  • 少額から投資を始めることができる
  • 分散投資がしやすい(株式・債券・外国株・不動産などの各投資信託・ETFに分けることが容易)
  • 投資信託の種類が豊富で広い選択技がある
  • 細かい銘柄の分析はせずに、ファンドマネージャーに任せられる
  • 決算ごとに監査法人などの監査があるため、運用の透明性が高い
  • ETFであればコストが安く、いつでも売買できる
  • ETF以外はコストが高い(販売手数料・管理手数料・解約手数料などがかかる)
  • ETF以外はタイムリーに売買できない
  • 元本保証ではない
  • 海外投資信託の場合は、為替変動リスクもある
  • 投資信託の種類が多く選定が難しい
4~6%
債券
  • 定期的な利息収入
  • 償還日に額面金額で払い戻される
  • 償還日になる前に途中で売却もできる
  • 国債は利率が低い
  • 信用リスク、流動性リスク、価格変動リスク、金利リスクが伴う
  • 社債の場合、企業が債務不履行になると元本と利息が受け取れない可能性
  • 社債の場合、購入単価が50万円、100万円など高い
  • 途中で売却すると損をする可能性がある
0~1%
保険
  • 全くの資産運用初心者でも始めやすい
  • 銀行の定期預金よりも利率は期待できる
  • 本来の保険としての機能もあり、ライフプランの目的に応じて加入できる
  • 引き落としで自動的に貯蓄できる
  • 生命保険や個人年金保険は、生命保険料控除の対象で節税効果がある
  • 途中解約すると元本割れの可能性
  • 保険料が高額
  • 長期加入が必須
  • 他の投資商品よりも利回りが低い
  • 予定利率が下がる可能性
1~2%
不動産
  • 入居者が安定していれば定収入が見込める
  • 節税対策や相続対策が可能
  • 私的年金代わりになり老後の収入源の一つになる
  • 生命保険の代わりに活用できる
  • ローンを組むことでレバレッジを効かせられる
  • インフレ対策になる
  • 空室リスク
  • 建物の老朽化による修繕費の増加と価値の下落
  • デフレリスク、金利リスク
  • 流動性リスク
  • よく調査しないと割高な物件を買わされてしまうリスクもある
  • 天災や事故リスク
  • 不景気等による不動産下落リスク
3~7%
  • 無価値になりにくい
  • 世界共通の価値
  • 信用リスクがない
  • インフレに強い
  • 現物なら実物を保有もできる
  • 実物を保有せずとも金ETFで利便性高く投資できる
  • 配当や利子を生まない
  • 管理する場合は保管コストがかかる
  • 金投資信託は手数料が高い商品もある
  • 紛失・盗難リスク
-

*平均利回りは目安値。商品内容や投資手法によってはマイナスになることもある。

各資産運用の利点・欠点、平均利回りを見ると「なんて利回りが低くつまらないものなんだ」と思う方もいるかもしれませんが、本来の意味の投資は刺激的なことは一切なくつまらないものですし、平均利回りは5%くらいが目安になっています。資産クラス別のリスクとリターンの関係については、三井住友銀行のサイトが参考になります。

どの資産運用が一番良いの?

7種類の資産運用方法を解説しましたが、では、どの資産運用が一番オススメなのでしょうか?

この回答については人それぞれ目的により異なりますが、どれか一つの種類に集中投資するのではなく、アセットクラスを分けて逆相関や相関の無いもの同士の組み合わせで分散投資をすることが一般的な考えです。

「分散投資」は、よく耳にする言葉だと思いますが、単純に分散して投資すれば良いというものでもありません。

例えば株式投資において、異なる銘柄に複数投資しているだけでは分散投資とは言えませんし、日経225連動型ETFと東証一部の銘柄に投資していても値動きが連動している点において分散投資とは言えません。

基本的に重要なのは、相関性が無いものをアセットクラス毎に分けてポートフォリオを構築することです。

アセットクラスを分けた分散投資

アセットクラス(資産クラス)とは、投資対象を分類したものです。「国内株式、外国株式、国内債券、外国債券」の伝統的4資産と、「不動産、商品デリバティブ、貴金属、ヘッジファンド」など(オルタナティブ資産)に分類されます。

伝統的4資産の中でも国内株式と外国株式、国内株式と外国債券の相関性は、リーマンショック以降0.5~0.9程度と高い水準を推移しているため、これらの組み合わせで投資していても○○ショックなどの経済的打撃で投資している商品すべての価格が下落してしまい、価格変動リスクを軽減することはできません。

分散投資の目的は、最適な資産配分比率を導き出し、価格変動リスクを抑えリターンを最大限に得ることにあります。

ちなみに、この分散投資について更に深堀りすると、現代ポートフォリオ理論に基づき、投資対象の各資産クラスのリスクやリターン、相関係数、共分散などから、ポートフォリオ全体のリスクとリターン率を求める複雑な計算が必要になります。

現代ポートフォリオ理論に基づいた分散投資効果までを全て計算できる人なら実行した方が良いですが、初心者であれば相関係数を確認して、ヘッジできる商品を組み込むくらいで良いのかなとも思います。後述するポートフォリオ シミュレーションを活用する方法もオススメです。(私の場合は、EXCELで効率的フロンティアを求め、最大シャープレシオの点で資産を振り分けています。)

相関性の低い資産例

調査する期間によっても相関係数は異なるので目安程度にしか言えませんが、基本的には伝統的4資産とオルタナティブ資産の組み合わせとされています。

例えば、「日本株式と金」「不動産(REITや投資信託含む)と外国株式」「商品指数とドルインデックス」のような組み合わせです。

各商品へそれぞれ投資することで大きな資金も必要で複雑になりそうな気もしますが、最近はETFの種類も多いので、各連動型のETFを購入するだけでも分散投資が簡単に行えます。

ポートフォリオを作成する

ポートフォリオとは、複数の金融資産の組み合わせのことです。自分はどの配分で資産があるのかを円グラフで分かりやすく表示し、各資産のリスク率とリターン率などを計算することで、健全なポートフォリオになっているかを確認することもできます。

資産運用におけるポートフォリオ例としては、下記の組み合わせのようになります。

ポートフォリオ例
  • 日経225 20%
  • 外国株式 20%
  • 外国債券 10%
  • 外国REIT 20%
  • J-REIT 10%
  • バランス型投資信託 10%
  • 米国ハイイールド債券 10%

ちなみに、上記例の組み合わせでは、リターン4.3%、リスク14.9%(年率)になります。*この数値は例であり最適な数値ではありません。

各データを取得してリスク率やリターン率を手計算するのはとても面倒ですが、Googleで「ポートフォリオ シミュレーション」と検索すると自動で計算できるサイト(銀行や証券会社運営)が多数でてきます。私も一通り試してみたのですが、野村アセットマネジメント株式会社が運営する「つみたて&分散シミュレーション 投信アシスト」のサイトが使いやすく見やすかったです。

一言に「資産運用」と言っても様々で色々な手法がありますが、「SNSであの人が買っているから」とか「最近、この銘柄が話題だから」とか「(根拠なく)将来米国株が上がりそうだから」という曖昧な理由で投資するのではなく、きちんと数値化されたデータに基づいて、定期的にポートフォリオを見直しながら投資することが、利益を出し続けることで大切なんじゃないかなと思います。

上記サイトのようなポートフォリオ シミュレーションを活用して、今投資している資産配分はリスクが高くないか、今後資産運用するにあたってどのような配分で投資すれば適切なのかを確認することもオススメです。