私がベトナム株をやらない理由

2019年2月14日株投資

2021年6月追記

ついに重い腰を上げてベトナム株をはじめました。とは言っても長期投資なので、最初にポートフォリオを組んでそのとおりに購入したあとは、しばらく放置です。途中リバランスはするかもしれません。ポートフォリオは、現代ポートフォリオ理論の効率的フロンティアに基づいています。

銘柄選定がとても面倒でしたが、人気銘柄順に一つ一つ企業情報や決算書等を調べ、2015年からの過去データを元にしています。不動産銘柄は含めていません。

尚、銀行定期預金解約によりできた現金分(全資産の約1%)で購入しています。証券会社はFPT証券を利用しています。

2023年11月追記

2021年6月からベトナム株を取引開始して、その後保有した株はすべて売却せずに2年間放置して6.64%なので、「これならベトナムの定期預金の方が良かった」「米国や日本のインデックス投資してた方が良かった」という結果です。

17銘柄保有中、利益が出ている銘柄は「CTG、FPT、PNJ、SHS、VCB、VGC」の6銘柄のみです。

2017年くらいからベトナム株を初めている方であれば、この数年の下落でも大きな利益になっているとは思いますが、私のように2021年中旬以降、特に2022年1月に取引開始された方は悲惨な結果になっているかもしれません。

以上のことから、今後私はベトナム株には投資しないことにします。どこかのタイミングで保有銘柄は全売却して終了いたします。

ベトナム株は本当に将来有望なのか?

「ベトナム株は将来有望」という話題は、株投資をしたことがある人なら聞いたことがあると思います。

私はベトナム在住ですし、元々資産運用を株式投資から始めているので、もちろんベトナム株にも興味を持っています。ベトナム株は、テンバガーになる銘柄も結構あると聞きます。

ベトナム株は、本当に将来有望なのか?ということが気になり、2019年2月執筆時点で長期間のVNインデックスの値動きを確認してみました。

vnindex
データ出典元

2018年4月の最高値から現在(2019年2月)まで下落基調ですが、2017年11月以前からベトナム株を始めている人は、今のところ平均的に利益が出ていると捉えられます。

このままVNインデックスが上昇するか下落が続くのかについては、当たり前ですが国の政策やGDP等も関係してくるでしょう。2020年からは新型コロナウイルスの問題も影響されています。

尚、チャートだけで判断するならば、2018年4月の最高値以降は高値と安値を切り下げて値動きしているので今後数ヶ月は下落が続くものと考えられますが、長期的に見た場合ベトナムのGDPは今後も右肩上がりが予想されているので、株価も上がるのでは?と粗方予測することも可能です。(日本以外の国では、GDPと株価指数は平均0.8前後の正相関があります)

vietnam-gdp
データ出典元

尚、過去20年間のデータによればVNインデックスは、リターン17.18%・リスク33.57%、シャープレシオ0.51となっています。2007年10月から2009年2月にかけておきたベトナム株の大暴落がリスク率を高めています。

なぜ私はベトナム株をやらないのか

私がベトナム株をやらないというより、「やれない」の言い方が適切かもしれません。

前述したベトナム株の背景を踏まえると、次回の政策金利で利下げが行われたタイミングなどで仕掛けたい気持ちになりますが、私の場合は自分の投資スタイルに合わないことや自分自身納得いくまで理解できないと投資しないようにしています。

ベトナム事情や上場企業について詳しい方は、長期的に投資を考えても良さそうですが、私自身はベトナムに2012年から居住していても他人に誇れるような国内事情通ではありませんし、ベトナムの各上場企業についても詳しくはありません。「だったら調べればいいじゃん」と思われるかもですが、そこまでベトナム株を絶対やりたい!という想いはないですし、本業と合わせてベトナム株に時間を割けるほど余裕がないのが実情です。

それに、現在の資産運用はプライベートバンクでファンドへの投資がメインなので、そこまで個別株投資に情熱を注げなくなってきているというのもあります。

ベトナム株のリスク

ベトナム株は、夢いっぱいの投資対象という見方もできますが、リスクもあることを忘れてはいけません。

ベトナム株の主なリスク
  • 為替変動(通貨切り下げ)リスク
  • インフレリスク
  • 流動性リスク
  • 売買制限リスク
  • 送金リスク
  • コンプライアンスリスク

総合的には、ベトナムのカントリーリスクと捉えられます。社会主義国ですから、法制度や規制はコロコロとすぐに変わりますし、証券会社や銀行、窓口のスタッフによって対応が異なるので、ベトナムから海外へ送金できないなんてこともあるかもしれません。ドイモイ政策以降、自由主義経済を取り入れて制限付きで個人の財産を認めるようになっていますが、国債破綻や戦争などをきっかけにひっくり返されるリスクもあるでしょう。

ベトナム株については、まだまだ全体的な売買高が少ない流動性リスクがあり、銘柄によっては買ったのはいいけど希望の価格で売れないなんてことになりかねません。

また、外国人株主比率が49%(銀行株など一部は30%)と上限が決められており、既に上限に達している銘柄は、外国人は買いたくても買えない売買制限もありますから、デイトレードなんてものには不向きです。

そして、過去にベトナム現地の上場企業の役員の方と知り合う機会もあったのですが、「表にでないだけでどの企業も粉飾決算が日常茶飯事」ということを聞いてから、決算書をどこまで信頼して良いのかもわからないレベルなので、この辺のコンプライアンスリスクにより一気に株価が下落なんてことも考えられるでしょう。

あと、個人的には、配当をもらってもそんなに良い利回りにならないということもベトナム株をやれない理由の一つになっています。ベトナム株の配当は、現金配当の他に株式配当やストックオプションの付与なども銘柄によってありますから、その分株価が下落する要因になったりします。

それに、毎年約4%前後のインフレ率がありますし、定期的に通貨切り下げを実施していますから、ベトナムドンの通貨で資産運用していた場合、実質的な利回りはより低くなります。

もちろん株価自体が上昇して、配当利回りよりも売却益のリターンが大きく上回れば良いとプラスに考えることもできますが、私の場合はベトナム国内の不動産へも投資していますし、もうポートフォリオでこれ以上ベトナムドン比率を無理してあげなくても…という思いの方が強いです。

ベトナム株をやらない・やれない理由

  • 自分の投資スタイルに合わない
  • ベトナム事情に詳しくない
  • ベトナム上場企業に詳しくない
  • 各企業の情報を調べるのが手間だし時間に余裕がない
  • 日本のような板情報が見れない
  • 売買高が少ない
  • 決算書の信頼レベルが低い
  • 取引画面が見づらい
  • 信用取引ができない
  • カントリーリスク

これらの複数の理由から、私はベトナム株を取引していません。(色々できない理由を並べて、やらないだけとも言えますが…汗)

この理由は私に限ったことで「みなさん!ベトナム株はリスクがあるし取引しづらいから気をつけた方がいいよ!」と言っているわけではありません。人によっては長期投資が向いている方もいますし、一時的な乱高下は気にせず長期的に株を保有するような人やベトナム株に興味を持ち続けられるような人は、逆にベトナム株は良いかと思います。

私も今後永遠にベトナム株に投資しないというわけではなく、将来的にベトナム株について正しく学ぶ機会があり、時間の余裕がでてきて、上記の不安材料を払拭できれば試してみようという気持ちはあります。