コンドテルとは

2019年3月16日不動産,資産運用

コンドテル(Condotel)とは、「コンドミニアム」と「ホテル」を掛け合わせた「コンドミニアム ホテル」の略です。

コンドテルの一室を所有するオーナーは、ホテル運営者に貸し、全体の稼働率に応じて4割~8割の利益を得られる仕組みです。ホテルコンド、コンドホテルなどとも言われます。

コンドテルの物件によっては、10%利回り保証10年間というところもあるので、部屋のオーナー側は10年で投資金を回収できることになります。

日本では、沖縄のカフーフチャクコンド・ホテルなどがホテルコンドミニアムとして売り出していますが、日本においてはあまり馴染みのないスタイルかと思います。近年、東南アジアでは、コンドテルタイプの物件が流行ってきています。

ちなみに、似たようなものでタイムシェアという仕組みもありますが、タイムシェアは一室を一週間単位で販売し、休暇で利用できるものであり、投資とはまた違う性質があります。タイムシェアは、リゾート会員権みたいなものでヒルトンなどの高級ホテルが富裕層向けに販売している商品です。

コンドテルのメリットとデメリット

デベロッパー・ホテル運営側のメリット

デベロッパー(開発業者)やホテル運営側のメリットは、コンドテルとして投資家へ売り出すことで、ホテル開発費を建築中の段階から回収を開始できることです。(投資家は、フェーズ毎に分割で不動産購入費用を支払う仕組みなので、厳密には建築中に100%開発費を回収できるわけではありません。)

更に、部屋のオーナーからは毎月運営管理費を徴収し、オーナーへの配分も稼働率によって4:7などで配分する仕組みです。一般的なホテルよりも収益は落ちますが、ほぼリスクなく運営することが可能になります。

デベロッパー・ホテル運営側のメリット
  • 建築前・建築中に開発コストを回収できる
  • 低いリスクで運営できる

コンドテル建築コストと採算を考察

コンドテル開発をするデベロッパー側は、どのくらいの収支を予定しているのか気になり、大雑把に計算してみました。

例えば、ベトナムの場合だと、ホテルの建築にコミコミで平均約1,500ドル/㎡(2019年時点)のコストがかかります。

もし、2,000㎡の建築面積の場合は、2,000㎡×1,500ドルで1フロア300万ドルのコストがかかる計算です。

1フロア2,000㎡の場合、45㎡1ベッドルーム中心で70㎡2ベッドルーム4室の場合は、エレベーターや非常階段などの設備入れても約30部屋とれますから、1室平均150,000ドルで30室すべてを各投資家へ売った場合、1フロア30室×150,000ドルで450万ドルの売上が建築中、建築後にあがります。

1フロアの建築コストが300万ドルですから、450万ドル – 300万ドル = 150万ドルが1フロア毎に残ります。

20フロアの客室を作った場合は、20フロア × 150万ドルで3000万ドル。この分が、土地代やフロント、レストランなどの共有スペースの建築コストなどに充てられるので採算が取れる計算です。

もちろん、大雑把でしか計算していませんので、デベロッパー側はもっと細かく損益分岐点を計算し、何室売れば採算が取れるのかを綿密に計画を立てているはずです。

デベロッパーや運営側のデメリット

デベロッパー側のリスク(デメリット)としては、主にコンドテルが売れない場合です。

一定数以上売れないと損益分岐点に達せず赤字になってしまうため、立地条件が悪い・知名度が低い・戸数が多い等あまり条件の良くないコンドテルは、利回り保証をつけて売る手法にするところが多いです。利回り保証をつけることで、投資家にとって魅力的な物件になるためです。

ただし、10%利回り保証10年間とした場合は、最終的に部屋オーナーが購入した代金を10年かけて運営側が支払いするわけですから、ホテルの宿泊客数が一定以上入らなければ結果的に赤字になってしまいますし、部屋オーナーへの支払いが済んだ11年後からの収益をあてにしてもコンドテル全体の修繕費などのコストが嵩み赤字になってしまうリスクも高いわけです。

本来なら、オーナーから預かった金額は分別保管・信託保全されていることが望ましいといえますが、東南アジアでそんなことしているデベロッパーは皆無でしょう。

また、建築中の事故やホテル運営中の事故や評判も、収益が落ちる要因となります。そのため、デベロッパーは細心の注意を払いながら建築工事にあたらなければなりません。

デベロッパー・ホテル運営側のデメリット
  • そもそも損益分岐点まで客室が売れないと赤字
  • 利回り保証をつけた場合は一定以上の宿泊客を確保しなければ赤字
  • 利回り保証で部屋オーナーへ支払いが終わった11年後は修繕費などのコストがかさむ
  • 事故や悪評によって販売低下や客数低下に繋がり赤字のリスクも
  • 土地の交渉や建築の工数が多い
  • 初期投資では多額の資金が必要
2020年4月1日追記:新型コロナウイルスの影響により、ホテルやコンドテルの運営停止、デベロッパーや運営会社が倒産、または、利回り保証を停止するケースが出てきています。

不動産投資家側のメリット

コンドテルの一室を購入するオーナー側のメリットは、ホテルを多額の資金で自分で建設するより一室単位で安く所有することができ、稼働率に応じて4割~8割の利益(5〜10%の表面利回り)を得られることです。

更に、毎年1年の10日〜15日間は自分や家族が無料で泊まることができるサービスを提供しているコンドテルが一般的なので、旅行や休暇にホテルにお金を払って宿泊しなくても、無料で泊まれる点もメリットです。つまり、別荘のように使えます。

1年の15日間というのは、15日間連続でなくてもよくて、例えば1月1日〜12月31日までの間に、3日・5日・2日・5日と複数回に分けてもOKです。ただし、ホテル全体が満室に近く、自分の所有する部屋に宿泊客が予約しているような状況では利用できないので、早めに事前予約する必要があります。

また、15日間無料で泊まれるといっても、「1年のうち5日しか利用していないから10日分お金返して!」ということはできません。

その他、人気のあるコンドテルの場合は、値落ちすることはあまりないので売却益も狙えるというのもメリットとしても考えられます。私はベトナムにしかコンドテルを持ってないので他の国ではどうか分かりませんが、建築前の価格よりも完成後の価格の方が高くなっているのが一般的です。

将来性のありそうなコンドテルを建築前の段階から購入しておいて、数年後(約2年後)の完成したときに売却することでもキャピタルゲインを狙えます。

2020年4月1日追記:新型コロナウイルスの影響でコンドテル供給数が多くなり、一部値下がり、売却したくてもできない状況になっています。
コンドテルへ投資するメリット
  • ホテルを一室単位で安く所有できる
  • 稼働率に応じて4割~8割の利益(5〜10%の表面利回り)を見込める
  • 1年の10日〜15日間無料で泊まれる(別荘のように使える)
  • インカムゲインの他にキャピタルゲインも狙える

不動産投資家側のデメリット

投資したオーナー側の最大のデメリットは、デベロッパー側の資金が底をつき開発計画自体が無くなることです。計画がなくなれば、投資したお金は戻ってきませんので全て損失となります。

そのため、コンドテルを購入するときは一括で支払う仕組みではなく、フェーズごとに分割で支払うのが一般的です。例えば、建築前に10%→数カ月後に20%→更に数カ月後に50%→完成前に10%→完成後に10%といった具合です。

デベロッパーの資金不足

ベトナムでもデベロッパーの資金が底をつき開発途中で倒産というのは昔はよくあったみたいですが、最近はこのような事態になるというコンドテルは聞きません。

ただし、デベロッパーが当初計画した開発コストよりも大きくコストがかかってしまい、資金不足により開発が遅れるというのはよくあります。

最近でいうとベトナム ダナンのヒルトンホテルです。すでにヒルトンホテルはオープンしていますが、一部まだ建築されていない箇所がありますし、そもそもダナンのヒルトンは2017年に完成予定でした。噂では、デベロッパーの社長が資金を横領して使ってしまったという話ですが実情はわかりません。

デベロッパーの見極め

デベロッパーがきちんとしていないと、一部の建築許可が国からおりずに再建築させされ工期が遅れたり、デベロッパーの資金不足になるリスクに繋がります。

やはり、ダナンですが空港などでも大々的に宣伝しているCOCOBAY(ココベイ)が、当初計画していた建築物とは異なる建築をしたために2018年に6ヶ月間の建築停止処置をされました。ダナン市が嫌っている中国資本だからという噂もありますが…

日本人でも購入者がいるとの話を聞くので、今後もCOCOBAYは注意された方が良いでしょう。

私は、当初から供給過多のリスクを考慮してココベイには投資していません。

2019年11月25日追記:COCOBAYの運営会社は、12%8年利回り保証を資金不足により支払えないことを発表しました。開発は中途半端で止まってしまっています。

運営会社のクオリティリスク

コンドテル運営会社のクオリティが一定水準以上を保っていないと、ホテル宿泊客からのクレームや悪評から客足が遠のく可能性があります。宿泊客が減少するということは、オーナーの配分収益の減少に繋がるということです。

共用スペースや部屋の清掃状況やスタッフのサービスなどが保たれていなければ、運営会社へ改善の要望を伝える必要があります。もし改善されなければ、売却も検討しなければなりません。

また、デベロッパー・運営側のデメリット項目でもお話したように、10%利回り保証10年間として売り出しているコンドテルの場合、宿泊客数が一定以上(毎月の損益分岐点以上)入らなければ運営側は当然赤字になるので、赤字が積もれば運営会社が倒産ということになりかねません。

運営会社が倒産となった場合は、全ての契約が白紙に戻されるわけですから、別の運営会社が買い取って引き継いでも利回り保証が確実に約束されるわけではありません。

ベトナムではまだコンドテルの仕組み自体新しいので、約束された利回りが入ってこないなどのトラブルはまだ聞きませんが、将来的には注意した方がよいでしょう。

2019年11月25日追記:COCOBAYの運営会社は、12%8年利回り保証を資金不足により支払えないことを発表しました。

運営管理費のコスト

コンドテルによってピンきりなんですが、所有する一室の平米数で計算された運営管理費が毎月発生します。

ダナンでは、平均的に1㎡1ドル程度なので、45㎡なら45㎡×1ドル=45ドルが毎月運営管理費として徴収されます。(1㎡0.3ドル〜2.5ドル程度の開きがあります)

運営管理費の支払い方法は、オーナーに支払われる収益から差し引かれるところもありますし、毎月銀行引き落としのところもあります。

管理費のコストを確認せずにコンドテルを購入してしまうと、想定していた利回りより低いなんてことにもなるので、必ず確認が必要です。

コンドテルへ投資するデメリット
  • デベロッパーの倒産リスク
  • デベロッパーの資金不足
  • 運営会社のクオリティリスク
  • 運営管理費のコスト
  • 利回り低下リスク
  • 売却不可リスク
2020年4月1日追記:新型コロナウイルスの影響でコンドテル投資が大きなリスクになっています。コンドテル投資は今後避けた方が良いでしょう。私も失敗しました。売りたくても売れない状況になっています。

コンドテルのまとめ

コンドテルを購入検討しているなら以上のリスクも考慮して最悪は全額失ってもよいくらいの気持ちで投資する必要があります。

ベトナムでコンドテルを購入検討する場合は、総合的にデベロッパーの見極めが一番重要となります。デベロッパーが聞いたこともない小さな会社では、ちょっとした計画ミスで倒産するリスクが非常に高いわけです。

上場しているデベロッパー企業であることはもちろんのこと、一つのプロジェクトが失敗しても揺るがないくらいの資金力があり、過去の建築実績でも計画通り建築されていること、可能であれば過去の建築物の内外装のクオリティを確かめることも大切かと思います。

私も10代のときに建築現場で働いていた経験から、過去の建築物をチェックしますし、開発中であれば基礎工事の確認・足場の組み方・柱の太さ・現場で働く労働者の質まで現場まで実際に出向いて確認しています。

納得行くまで自分なりの確認と分析をして投資したなら、もし全額損失になってしまっても諦めがつきますからね。